『季節はずれのサンタクロース』


その人は
ある日突然
やってきた
おっきな袋を
たずさえて

中にはなにも
はいってなかった
サンタのプレゼントは
要らなくなったものを
消してくれることだった

少女には
いらないものは
なにもなかった

かわりに
きいてほしい
ことがあった

彼女に起こったことを
誰も信じてくれなかった

サンタはにこにこして
大きな袋を開いた
まるで生まれたての
赤ちゃんのような匂いがした

「それでね……」
「そうしてね……」
「それからね……」
少女の話は
ずっとずっと
続いていった

気がつけば
いつかサンタも
あの大きな袋も
消えていた

でもサンタは
確かにやってきたのだ

キンモクセイ
かおる季節に